こんにちは!くじらパパです。
今回はお悩みへの回答ではありませんが、皆さんから意外と質問を受けることが多かった、「精神科医になるにはどうするの?」というテーマで話してみたいと思います。
自分の体験も踏まえながらお話ししてみたいと思いますので、興味をもって貰えると嬉しいです。
くじらパパも10年以上精神科医をしていますが、ここまで来るにはいろんな経験をしてきました。精神科医になる方法と併せて、その一部を紹介してみようと思います。
精神科医とは
精神科医の仕事は、簡潔に言うと「心(脳)の状態」で困っていることを解決することです。
心の状態というのは無意識のこともあるので、患者さんも気づいていないことがたくさんあります。言い換えると、精神科の仕事とは患者さんに気づきを与えることとも言えます。
伝える情報の中には、生い立ちやその人の考え方、職場や家庭の環境などの情報も含まれています。なので、患者さんによっては触れられたくない情報も含んでいることもあるため、精神科がすごく怖いと感じられることもあります。
ですが、一人では向き合えない不安も、専門家と向き合って整理したりアドバイスを受けることで前に進めるようなった人をたくさん見てきました。そういった患者さんとお会いすることができることが、精神科の仕事をする上での大きなやりがいになっています。
では、そんな精神科医にどうやったらなれるのか解説してみたいと思います。
精神科医になるための最初の難関
精神科医になるために、最初にして最大の難関があります!
それは、”医学部に合格すること”です。
当たり前の話ですが、精神科医も医者であるため、まず医者にならないと始まりません。
精神科医って何となく医者っぽく無いので、裏技ルートがみたいなのがあると思われることがありますが、そんなことはありません。
精神科医であっても、体の構造や薬の知識など基本的な医学の知識は必要ですし、きちんと現代の医学に則って治療を行います。
日本で医師になるためには、国家試験を受けて医師免許を取る方法しかありません(外国の人は別)。国家試験受けるためには、医学部で6年間勉強しないと受験資格が与えられないので、医学部に入学することが医者になるためには必須となります。
私が人生で一番勉強した時期と言ったら、間違いなく受験の時期です。この時は本当に机に噛り付いて勉強していました。
医学部には本当にいろんな人がいます。もちろん高校卒業してすぐに入った人も沢山いますが、仕事を辞めて40代から大学入ったなんてのも珍しくありません。最近ではラグビー日本代表の福岡堅樹さんが医学部にはいったなどニュースもありましたし、何歳からでも医者になれるチャンスはあるのだと思います。
医師国家試験を受ける
医学部に入った後は大学に6年間通います。大学では精神科だけの勉強をすることはできず、まず医者になることを目指して様々な科目の勉強をします。
1年生の時は基礎的な教養の講義ですが、2年生からだんだんと専門的な勉強が始まって行きます。3~4年生になると、内科や外科、小児科、産婦人科、精神科などの全ての科の勉強が始まります。
自分の興味がある事が見えてくるのが大体この時期です。この頃の私は、精神科だけでなく他のいろんな科にも興味があって、将来の想像を膨らませていたのを覚えています。
もちろん勉強の量も生半可ではなく、毎度迫ってくるテストに毎回必死になってしました。
5~6年生になると、実習が始まり、病院現場で勉強するようになります。実習が終わると、いよいよ医師国家試験です。国家試験をくぐり抜けることで、やっと医者としてのスタートラインに立つことになります。
初期研修
無事に医師国家試験に合格しても、すぐに精神科医になれるわけではありません。
最初の2年間は初期研修といって、下積みをしないといけません。皆さんが想像する研修医ってやつです。
研修医の時は、上の先生の指示なしできる医療行為が限られているので、まだまだ専門的な治療をさせてもらえません。それでもやらないといけない業務は山ほどあって、毎日仕事に明け暮れていました。上の先生について病棟を回る”教授回診”みたいなことも実際の現場でもありましたね(笑)
そしていよいよ初期研修が終わり、自分の専門となる科を選択するようになります。
後期研修
後期研修から、自分の学びたい分野の専門的な研修が始まります。私が精神科としてやっていくことを決断したのはこの時です。
初期研修ではローテーションで色々な科を回っていましたが、後期研修からは自分が行きたい病院や科を選んで研修することができます。
精神科になりたい人は、ここで精神科の後期研修を受け入れている病院を選ぶことになります。大学病院や医療センターなどの大きな病院ですることもあれば、精神科を専門にしている指定病院で研修するなど様々です。
現在の私はクリニックに勤務していますが、以前は大学病院や大きい精神科病院で働いしていました。
そこで2~3年程の経験を積んで、精神科専門医や精神保健指定医などの資格が取れると、この辺りからようやく「私は精神科医です」と言えるようになります。
その後
研修が終わった後は、さらに自分の専門を深めていきます。
精神科にもいろいろな分野があります。例えば、発達障害、認知症、睡眠障害、気分障害、司法精神医学などがあります。研修が終わったとでも、それぞれの腕を上げていくために勉強をし、一人前の精神科になるため精進していきます。
精神科って何となく不思議のベールに包まれている感じですが、案外やっていることは他の医者と大きく変わらないと感じるのではないでしょうか。
ですが、精神科が人の心を扱う分野であるため特別なスキルは必須です。学問的な知識だけでなく、患者さんやその家族の不安な気持ちを和らげることも、精神科医の重要な仕事です。
ストレスが多いこれからの時代には益々必要とされる仕事になっていくと思いますので、少しでも理解が深まっていただけるようになると嬉しいです。