こんにちは!くじらパパです。
今回は、発達障害グレーゾーンの診断と支援について話してみたいと思います。
徐々に世間に広まっている言葉ですが、まだまだ知らない人もたくさんいます。そこで、発達障害グレーゾーンとはどんな特性で、どんなことに困っているかなど解説してみたいと思います。
今回の記事は以下の事を知りたい人にお勧め。
- 発達障害グレーゾーンについて詳しく知りたい
- なぜ診断がつかないの?
- どんなことに悩んでいるの?
発達障害グレーゾーンとは
発達障害グレーゾーンとは簡単に言うと、「発達障害の傾向はあるけれど、診断基準を満たさない人」を差す言葉です。
例えて言うなら、「カレーライスではないけれど、カレーの味がついてるご飯」みたいな状態です。
カレーライス
カレーライス?
白ご飯
もともと、発達障害の特性とは皆が持っているものですが、人によって濃い人と薄い人の差があります。
現在ではその濃さがグラデーションになっていると考えられており、そのグラデーションのことを「スペクトラム」という風に表現します。
グレーゾーンの人はスペクトラムの真ん中くらいに位置していると考えてください。
よくある誤解として、グレーゾーンは白か黒かはっきりしていないと思われることです。
そうではなく、グレーという色の特徴を持っている人と理解することが大切です。
はっきりと発達障害と診断されなくても、困っていることには支援が必要な状態と捉えてください。
診断基準から考える
なぜグレーゾーンの人は、発達障害と診断されないのでしょうか?
その理由の一つに、発達障害の診断(特に自閉スペクトラム症)を満たすためのハードルの高さがあります。
現在、自閉スペクトラム症には以下の様な診断基準があります。
DSM-5における自閉スペクトラム症の診断基準
以下のA、B、C、Dを満たしていること。
A:社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害(以下の3点で示される)
①社会的・情緒的な相互関係の障害。
②他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーションの障害。
③年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害。B:限定された反復する様式の行動、興味、活動(以下の2点以上の特徴で示される)
①常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方。
②同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、言語・非言語上の儀式的な行動パターン。
③集中度・焦点づけが異常に強くて限定的であり、固定された興味がある。
④感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心。C:症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある。
D:症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。
(参照:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル)
ざっくり言うと
- コミュニケーションの問題
- こだわりや興味の偏り、感覚過敏
- 赤ちゃんの頃から症状がある
- いつもトラブルが起きる
これらを全て満たさなといけません。
ですが、人によっては
- こだわりは強くないが、人とのコミュニケーションは苦手
- 感覚過敏が強すぎる
- いつもではないが、場面によっては困る
など様々なパターンがあり、発達特性の一部の症状でしか困っていないこともあるのです。ですが、問題になる特性は自閉スペクトラム症と診断された人と本質は同じです。
むしろ、診断がつけられないことによって理解されない生きづらさを持っていることもあります。
発達の凸凹から考える
人にはいろんな個性があります。
これらの個性は、生きづらさにはあまり大きく影響しません。(状況によってはありますが)
発達の凸凹も個性の一つです。
ですが、発達障害の個性は今の社会では生きづらさに大きく影響します。
例えば、
・コミュニケーションが苦手で学校や職場でつらい
・ミスが多くて、いつも怒られる
・やるべき事ができずに自信を無くす
など「それって個性だよね」では済まされにくい事態を引き起こしてしまいます。
その理由は、今の社会で求められる能力とのミスマッチなのです。
昔は良かったけれど、今の時代では許されないなんてこともあります。
つまり発達障害の正体とは、
発達の凸凹 + 環境とのミスマッチによる生きづらさ = 発達障害
グレーゾーンの様な凸凹が小さい人でも、適応がうまくいかない場合には障害を引き起こしてしまいます。逆に言うと、凸凹が大きくてもミスマッチが無ければそれは個性にもなりえます。
これが障害か個性かの線引きの難しさです。
発達障害の問題は、凸凹があるかどうかだけでなく、適応の問題が大きく関わってくるのです。
何に困っているのか?
グレーゾーンの人の困っていることの多くは、周りに理解されないことによって起こります。
グレーゾーンの人は医学的な診断が無いため援助が受けにくく、グレーゾーンとしての生き方は認められず、定型発達の人たちと同じことができることを求められます。
そこで、グレーゾーンの人は生き抜くために様々な作戦をとります。
①同じ成果が出せるように量でカバーしようとする(残業や寝る時間を削る)
②人に迷惑をかけない様、常に周りに気を遣う
③ひたすら我慢する
ですが、これらの作戦は破綻しやすく、うつ病・適応障害・不安障害・ひきこもりなどの二次障害を引き起こしてしまいます。
対策
対策の主なものは2つです。
①特性を理解してくれる人を見つけたり、自分らしくいれる環境に身を置く
②自分の特性を理解し、正しい対処法のスキルを身につける。(子供の場合は療育など)
もし、自力で探すのが難しい場合には医療や福祉の力を借りることができます。
発達障害の診断が無くても、適応障害やうつ病などの状態であれば病院を受診できますし、グレーゾーンに詳しい医師がいればアドバイスを貰うこともできます。
グレーゾーンにも様々なタイプがあり、ASD、ADHD、LDのどの特性に近いかで対応策が変わってきます。
また福祉サービスは障害者手帳を持たない方でも、必要性が認められた場合はサービスが受けられます。ジョブコーチなどの手帳がなくても使えるサービスもあります。
大事なのは自分の特性を理解し、環境とのミスマッチを無くし、障害となる部分を減らしていくことです。
まとめ
今回は、発達障害グレーゾーンの診断と支援について解説してみました。
ポイントは!
- 発達障害グレーゾーンとは、「発達障害の傾向はあるけれど、診断基準を満たさない人」を差す言葉。
- 発達障害の診断を満たすにはハードルがあり、すべてを満たさない人はグレーゾーンとなってしまう。
- 発達の凸凹 + 環境とのミスマッチによる生きづらさ = 発達障害
- グレーゾーンの人の困っていることは、周りに理解されないこと
- 対策は自分の特性を理解し、環境とのミスマッチを無くし、障害となる部分を減らしていくこと