【6つの力で解説】ADHDの実行機能障害

発達障害

こんにちは!くじらパパです。

今回はADHDの特性である、実行機能の障害について説明してみようと思います。

聞き慣れない言葉かもしれませんが、これが分かるとADHDの人はなぜ様々な困ったことが起きるのかを理解しやすくなります。

ADHDの特性の本質を突いた部分なので、ぜひ参考にしてみてください。

今回の記事は以下の事を知りたい人にお勧め!

くじらパパ
くじらパパ
  • 実行機能の障害ってなに?
  • ADHDの人はどんな事に困っているの?
  • これって性格の問題なの?

実行機能とは

実行機能とは簡単に言うと「目的を達成する力」です。
ADHDの人は、この力が弱いと言われています。

でも、まだどんな力なのかイメージしにくいですよね。

例えば、あなたが今ダイエットをしようとしています。

この時に、ダイエットを達成するためにはどんな力が必要でしょうか?

「努力と根性!」という人もいると思いますが(笑)、脳科学的な要素としては以下のことが考えられます。

実行機能の6つの力
  •  ①取りかかる力
        ↓
     ②集中する力
        ↓
     ③コツコツする力
        ↓
     ④感情をコントロールする力
        ↓
     ⑤テキパキする力
        ↓
     ⑥自分を振り返る力

これら6つの力をまとめて”実行機能”といいます。

実際にはそれぞれが複雑に絡み合っていますが、今回は分かりやすくするため6つのグループにしています。

それぞれ詳しく見ていきましょう!


①取りかかる力

皆さんも、ダイエットが体にいいのは理解できますよね?しかし、いざ始めようと思ってもなかなか始められないことがよくあると思います。

これには「取りかかる力」が強く関係しています。ダイエットに限らず、ADHDの人の多くは、この「取りかかる」がすごく苦手です。

これには主に2つの理由があります。

①やる気ホルモンの”ドーパミン”が生まれつき少ない

このホルモンが少ないと、達成した時の快感を感じにくくなります。また、ちょっとでもやりたくない理由が出てきてしまうとコスパが高いと感じ、動けなくなってしまいます。

結果どうなるかというと、極限まで追い込まれないとなかなか行動ができなくなります。

周りから見ると、「やる気のない人」と思われがちになりますが、その原因はドーパミンというやる気ホルモンが生まれつき少ないからなのです。

②優先順位がつけられない

ADHDの人は時間の計算や、重要性を判断することが不得意なことが多いです。

結果として優先順位がつけられず、どれからやっていいかが分からなくなります。

特にやるべきことが、興味の無いことだとその傾向は顕著になり、他の事に目移りした状態になってしまいます。

結果的にどうなるかというと、「それ今じゃなくない?」状態になってしまって取りかかれなくなるのです。


②集中する力

では、取りかかった後に必要な力はどんな力なのでしょうか?

その一つが「集中する力」です。

集中する力と一言でいっても、その種類はいくつかあります。

①狙った物に注意を向ける力
②切り替える力
③複数に注意を向ける力
④集中し続ける力

授業中に勉強している姿を想像するとイメージしやすいのではないでしょうか。

授業中は、先生の話を聞き、新しい問題がでたら切り替えて、ノートを書くことにも集中し、1時間程度続けるという作業をしないといけません。

集中ができない結果どうなるかというと、「ぼーっとしている」と周りから思われやすくなります。


③コツコツする力

集中し続ける力とも似ていますが、ここではより長いスパンでの話です。

ダイエットでいえば、3日坊主にならずに数か月~数年と続ていく力で、より長い期間「コツコツする力」が目標達成には必要な事があります。

ADHDの人はコツコツすることが苦手です。

コツコツするためにも必要な力はがいくつかあります。

①誘惑に負けない力
②目標までの道筋を立てる力

ADHDの人は目先の誘惑に弱く、将来の魅力が見えにくい特性を持っています。ADHDの人が衝動性が高いと言われる理由の一つです。

ダイエットだと、ついつい甘いものを食べてしまうということに似ています。

また、目標と今の自分との位置関係を測ることが苦手で、目標がはるか遠くのものに感じられてしまったり、現実感のある目標が立てられないことも影響します。

結果どうなるかというと、「我慢ができない」や「計画性が無い」と周りから見られやすくなります。

逆に、興味のあることには凄まじい集中力を見せることもあるので、そのギャップに周りが困惑することもあります。


④感情をコントロールする力

誘惑に弱いこととも似ていますが、ADHDの人は他にも様々な「感情をコントロールする力」が苦手なことがあります。

主な原因は

①欲求不満になりやすいこと
②過敏な感情反応が起こること

などがあげられます。

例えば、
・信号待ちをしているとイライラする
・雑音が気になって不満がたまる

など、日常の些細なことでもストレスに耐えられないことがあります。

他にも、
・失敗をすごく恐れる
・人前に出ると緊張しすぎる

など、不安に対しても敏感に反応することがあります。

この様な心理状態だと、「気分の波が激しい人」と見られやすくなります。また、感情が安定しない時は冷静な判断ができなるため、失敗が増えてしまいます。


⑤テキパキする力

テキパキする力」を発揮するためには、脳のワーキングメモリというものが深く関係しています。

ワーキングメモリは日常のいろんな所で使われます。

例えば料理をする時、

脳の中
脳の中
  • 材料は○○と○○
  • 7時までに作らないといけない
  • コンロでお湯を沸かして
  • 電子レンジで野菜の下ごしらえ

など、いろいろな情報を同時に処理しています

人との会話の中では、

脳の中
脳の中
  • 相手はどう思っているのかな?
  • 自分が言いたいことは、、、
  • 前にも言ったことがあったような
  • 結論はこうなりそうだ!

など、言葉や記憶を処理する脳の機能があるのです。

この機能をワーキングメモリと言います。

様々な情報載せて、いろんな操作を加えるので”脳の作業台”とも言われることがありますが、ADHDの人はその作業台のスペースが狭いのです。

ワーキングメモリがうまく働かないとどうなるかというと、「忘れっぽい」「要領が悪い」などの問題が起こりやすくなってしまいます。


⑥自分を振り返る力

「自分を振り返る力」のことをメタ認知とも言います。メタ認知とは、自分の状況を一歩下がってみる力の事です。

例えば、

  • 今の自分って疲れていないかな?
  • 気持ちは安定しているかな?
  • 集中できてる?
  • この発言をしたらどんな風に思われるだろうか?

など、自分の行動を監視する力で、言い換えれば監督的な役割です

サッカーでは監督が居なければ選手がバラバラになるように、実行機能の全ての力をまとめる役割を持ってます。

メタ認知が弱いと、自分の間違いに気づけなかったり、まとまりのない行動をとってしまいやすくなります。

まとめ

今回は実行機能の説明をしてみました。

実行機能とは、

 ①取りかかる力
    ↓
 ②集中する力
    ↓
 ③コツコツする力
    ↓
 ④感情をコントロールする力
    ↓
 ⑤テキパキする力
    ↓
 ⑥自分を振り返る力

などがあり、ADHDの人はこれらの一部、または全ての機能がうまくが働かないことが明らかになっています。

こうしてみると、目標を達成するためには様々な力が必要な事がわかりますよね!

ADHDの人は一見すると、「やる気がない」「怠け者」「感情の波が激しい」など思われしまいますが、それは脳の機能の不具合により生まれているもので、性格で怠けていることが問題では無いことを理解してあげてください。